「学校保健」とは?

学校保健とは、学校における児童生徒および教職員の健康保持と増進を図り、安全な環境での教育活動を実施することを目的とした活動の総称です。

教育基本法第1条には「教育の目的」として「心身ともに健康な国民の育成」が明記されており、児童生徒の心身の健康に関わる保健活動は、教育の基本的な到達目標として位置づけられています。また学校における児童生徒および職員の健康保持増進を図るための法律として学校保健安全法が定められています。

学校保健は大きく「保健管理」と「保健教育」に大別されます。

保健管理:子どもたちの健康保持増進を図る活動

     (健康診断・健康相談・環境管理など)

保健教育:教育活動全体を通して、健康生活を維持できる能力を育てる活動

(保健指導・保健学習など)

学校は、概ね学校長、教頭、養護教諭、教諭、学校医、学校歯科医、学校薬剤師、学校栄養士などで構成された学校保健組織で活動しています。組織内で共通した認識と理解のもと、児童生徒・教職員の健康管理を行い、環境衛生を整え、保健教育に取り組んでいます。

耳鼻咽喉科学校医について

簡単に言うと「学校に来るお医者さん」が学校医です。1970年からは、学校医(多くは小児科医・内科医)とともに学校耳鼻咽喉科医・学校眼科医がほぼすべての学校に配置され、いわゆる三科校医体制が確立しました。耳鼻咽喉科領域は、生命の維持に欠かせない食物の摂取・呼吸に関係するとともに、「のど」には免疫に深く関わる扁桃組織があります。また「聴覚」「音声言語」はコミュニケーションの基本となります。その他にも児童生徒の運動能力の向上と安全保持に関わる「平衡機能」や、日常生活にうるおいを与えている「嗅覚・味覚」など、耳鼻咽喉科領域は学校保健の中でも重要な位置を占めています。

私たち耳鼻咽喉科学校医は、健康診断で耳鼻咽喉科領域の病気を発見するとともに、聴力検査や音声言語検診によってコミュニケーションに大切な「聴覚」と「音声言語」の管理を行っています。そして健康相談や保健指導・健康教育を通じて児童生徒が健全な学校生活を過ごすための支援をしています。

学校保健活動への取り組み

学校保健は地域医療の重要な柱のひとつです。児童生徒を取り巻く環境は日々変化しており、また学校保健に関わる課題・問題点は地域によって異なります。日本臨床耳鼻咽喉科医会は「学校保健委員会」を組織し、各地域の学校保健情勢を把握するとともに、児童生徒の健康を守るための活動を続けています。